友の死

幼友達が死んだ.

小学校,中学校,高校,そして同じ会社へ入社して1年間の教育でも同じ釜の飯を食った仲だった.
初めて酒を飲みに行ったのも一緒で教育が終わって配属された工場も一緒だった.配属半年後,私は京浜地区の工場へ転勤となったが彼は製造現場に残り職長まで上り詰めた.
それからはお互い何年かに一度,入社同期組での旅行で顔をあわせるだけになったが取りあえず順風満帆な会社生活を送ってきた.

しかし数年前からの景気低迷で社内に構造改革の嵐が吹き荒れ,私は社外へ出向となり彼もどうした訳か再配置教育の対象者となった.
その後,彼は持ち前の頑張りで何とか社内に居場所を見つけ名古屋へ単身赴任することになった.
彼が再配置教育へ出されたと聞き陣中見舞いに行った時に彼は「過去は過去,これからは先のことを考えてとにかく頑張るしかないじゃないか」と自分自身を励ます様に笑っていた.
それが彼に会った最後だった.
今年の年賀状には「単身名古屋で頑張っております」と彼らしい一言が添えてあった. そんな彼が突然死んだ.

一緒に上京した日のこと.
初めての連休に二人で夜行に乗って帰省したこと.
当時の記憶を思い出しながら長野新幹線と長野電鉄を乗り継いで告別式会場へ向かった.
祭壇には写真と骨壷が置かれあいつの死んだことがいやでも現実としてそこにあった.
子供の進学に悩み,単身赴任で苦労して,新しい職場で慣れない仕事に悩み,遠距離通勤を嘆いている様なひ弱な私の何倍も頑張っていたはず.
遠く離れた名古屋で誰にも看取られずたった一人で死んで行った彼の無念さを思うとやるせない気持ちで一杯だ.

告別式のあと一昨年リストラの嵐が吹き荒れた工場に寄って見た.30年前にあいつとこの工場へ新人として配属されてあいつは人生の大半をここで過ごしてきた.きっとあいつはこの工場をいつかは見返してやる日を夢に見て頑張っていたに違いない.